【書評】『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』根本裕幸

年末にふと買ったらめちゃめちゃよかった心の持ち方を変える本

年末に信頼している本屋さんで「僕らの冒険には本が必要だ」という大和書房のキャンペーンが行われていた。その本屋さんは本当に選書のチョイスが素敵で、間違っても「嫌韓」「愛される女は男に尽くす」「30日でガンが治る」のような、歪んだperspectiveを押し付けてくるような本は絶対においてない。この本屋さんが推している本は信頼できるな〜年末に軽く読めるような本はないかな〜と思っていたら出会った『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』。パラパラ〜っとめくっただけで、半分以上が<どうすれば疲れずに自分軸で生きられるのか?>という問いに立ち向かうために、具体的なワークが書かれており、実践的な内容の本、好き!と思い購入。予想通り、すごくいい本だった!

 

人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本

人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本

  • 作者:根本裕幸
  • 発売日: 2019/01/18
  • メディア: Kindle版
 

第1章:「私ばっかり損してる!」のは、「お察し力」のせい

まず初めに、この本を手に取った人は「お察し力」が高いために、自分ばかり損をしているように感じること、どうしてわかってもらえないのかと悲しい思いを抱える可能性が高いと言っている。事例として出てくるのは、実際にカウンセリングを受けにきた人なのでなかなか追い詰められた方々なんだろうけど、自分でも思い当たる部分が多々ある…。相手のためを思って「忙しいから会わなくても平気だよ」と彼氏に言ったのに、伝わらなくて悲しい思いをしたり、忙しいだろうからと思って手伝ったら「そのやり方だめ、もう手を出すな」と言われて自分を責めたり。相手を想ってやったことなのに、それを受け取ってもらえないのは悲しいよね、辛かったよね、ということを初めにきちんと認めて、承認してくれる。うう、優しい作者だ…。全体を通じて、このような優しい目線で、読者を随所で承認してくれるので、自責の念が強いタイプの読者(おそらくこの本の想定読者層)も安心して先を読み進めることができる。

第2章:「他人第一」をやめて、自分をすり減らさない

次の章では、他人の気持ちを感じ取りやすいからこそ「他人第一」になってしまいがちな性質の人が、自分をすり減らさないために「自分軸」で生きていくことの重要性をとく。
この章でハッとしたのは、

「お察し上手」な人は、もともと「自分軸」で行動ができる自立した人ばかりです。ただし、はじめは主体的に相手の気持ちを察して行動していたはずが、相手がそれに気づいてくれなかったり、感謝してくれなかったり……あるいは、そこで調子に乗った態度を取ったりしてくると、不満や不信感が募ってくるものです。これは、自立の影に隠れていた依存が顔を覗かせた状態で「自立の依存」という問題になります。(p.80)

という部分。
ちょっと難しいので、自分なりの言葉で理解すると、人間は他人との関係性において「自立」と「依存」という2つの状態がある。もともと察する能力が高い人は、察した情報をもとに自分が何をすればいいか?ということを考えられる、「自立」した状態の人。(逆に言えば、「依存」状態の人は、察することができたとしてもその情報をどうすればいいかわからず行動を取らない、もしくはその時点で他人に助けを求めるので疲れない。)しかし、「自立」の状態の人も、自分が良かれと思ってやったことに対して、相手が気づかない、当たり前のように受け取る、ましてや文句まで言いだりたりすりゃあ「せっかくやってあげたのに何よ!」となり、自発的に行ったはずの自分の行動に対して見返りを求めるようになってしまう。この状態を「自立の依存」と呼ぶ、ということだと理解した。

第3章:人のために頑張りすぎない「自分軸」構築ワーク

第4章:自分の気持ちを優先できる伝え方

 なるほど、自分が疲れちゃう理由はわかった、じゃあどうすればいい?ということがこの後の3章、4章で書かれている。こういう本って「君は悪くないよ!元気出せ!」で終わり、根本的な解決まで至らない消化不良の本が多いので、半分以上をワークに取ってくれているこの本は、とても読者に誠実な本だと思う。おそらく、著者がカウンセラーだからこそ、具体的にどのようなワークをすればいいか?という解決まで導くことをプロとして長年やっているからできることだと思う。
この章では、他人軸になりがちな人が自分軸で生きるために、どのように強い「自分軸」を作り上げていけばいいかということが書かれている。たくさんワークがあるので、自分がやってみたいなと思うものからスタートすればいいんだと思う。私がすぐに始めたのは
・「人の迷惑顧みず」とつぶやく(潜在意識に働きかける)
・「課長は課長、私は私」など、相手との精神的な距離が近くなりすぎたなと思うたびにつぶやいて、相手との適切な距離をとる(相手との癒着をはがす)

今後やってみたいのは、自分の価値を改めて認めてあげたり、自分に優しくしたりする自己承認ワーク
・1日5個自分を褒める
・年齢×10個やりたいことを書き出す

第5章:「いま、とっても幸せ!」と気づく

最後に著者は、全ての人は愛されるに値する人間であり、どうか自信を認めてあげてね。と背中を教えてくれる。うう、ありがとうございます、頑張ります(泣いてる)
この章で紹介されていたワークでやってみたいのは
・自分を愛してくれた人に感謝の手紙を書く
私のことを愛してくれたからいなくなっちゃった彼、しばらくは「私に欠けている部分があったらかいなくなっちゃったんだ」と思い込んでたけど、そうじゃなく愛してくれていたからこそ身を引いてくれたんだね、あなたの愛を受け止めて前に進むね、と認識した方が、人生が楽になる。現実に当時の彼が何を思って別れを選んだのかは今ではわからないけど、私の人生は私の知覚だけにより構成されているんだから、説得力のある論の中で、なるべく幸せな選択肢を選んで人生を編んでいきたい。

疲れなくなる考え方を身につけるためのワークまで書かれた稀有な本

いや〜〜〜いい本に出会えた!『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』は、気を使いすぎ、相手の感情の先読みをしすぎて空回りしてしまう人にとって、必要な本。
私も、自己主張が下手で、自分の感情よりも他人の顔色や「この人、これがやりたいんだろうな」と思っていることを感じすぎてしまうタイプ。でも他人軸になりすぎなことはわかるし、自分軸で物事を感じ、考え、行動した方がいいんだろうなとアタマでわかっていても、2、3日もすると気がつかないうちに他人がなにを考えているのかを先回りして読み取って、自分の主張が弱くなってしまう…という空回りを繰り返していた。「他人の気持ちを読み取る能力」が仕事やプライベートで役に立つことが多いからこそ、そんな自分の長所は捨てたくない。でも「相手の気持ちを感じすぎて自分がなくなる」という短所は克服したい…という悩みを、優しく受け止め、前に進む力を与えてくれる本。そのケがあるな、と少しでも思う人は読んでみてほしいです。

 

2020年振り返り

2020年が終わって2021年。いやー早い。光陰矢の如し。色々あったような、何も無かったような2020年を自分用に振り返ります。

 1月:初めてのジェルネイルと友人との距離感

本厄なのでガッツリ課金してお祓いしてもらう。1−3月は仕事がすごく忙しくなることを見越し、ずっと気になっていたネイルサロンでジェルネイルをしてもらう。あまりに繊細な作業を地元がほぼ一緒のマイルドヤンキーにしてもらう。埼玉の風を感じる青山のネイルサロン。予定通り爪を見てテンションを上げつつめちゃめちゃ大変な仕事をこなす。高校、大学時代の女友達から久しぶりに会おう連絡が来るなあと思ったらみんな子供ができた宣言。おめでとう。その他、ランニングしたり、アメリカ仲間とインターコンチで鉄板焼き食べたり、上司を思い切って飲みに誘ったり、比較的アクティブに過ごした。仕事面では中途同期の中で自分だけが等級試験の対象となっていないことや公募に不合格になったことでものすごくモチベーションが下がる。

2月:人生迷子なので、転職活動と人生相談を同時並行で実施

土日は必ず誰かと会い、オイスターパーティーしたり人生相談したり転職活動の面談に行ったりDineでご飯を食べに行ったり箱根旅行に行ったり火鍋食べに行ったり皇居ランしてパン食べたり、プライベートはめちゃめちゃ楽しく過ごす。お休みの人はきちんと休み、他人とのコミュニケーションも取れている充実した2月。仕事面では相変わらず全員に余裕がなく、さらに同じ部署の年配の方が私が希望していた部署に異動することが判明し、モチベーションがさらに下がる。ただそんな中、私を落とした上司から「イシューからはじめよ」を勧められて読んでみたらeye openingの連続で、仕事の質が高まったことを実感する。紙とキンドルと両方買った。

3月:出張からの年度更新とコロナ対応でほぼ終わる

コロナの足音が聞こえてきたので海外出張はやめた方いいのではと上司に答申するものの、ほぼ無視されて退職への思いがさらに募る。実際に出張に行けばそれはそれで楽しいものの、まるで仕事が他人ゴトな同期に静かにキレて現地スタッフに気を遣われる(すまん)。帰国後すぐに海外渡航の制限がかかり、セーフ。引き続き業務にあたるが、コロナの影響で業務に影響が出るようになり、年度更新もあり阿鼻叫喚。何かしないといけない気がして残業するものの、今考えると特にvalueを発揮できていなかったので、家でのんびりしてた方が良かったかも。

4月:突然の部署異動からの緊急事態宣言からのお散歩日和

突然部署異動を言い渡され、モチベーションが地に落ちる。そうこうしているうちに緊急事態宣言が発令され、家での仕事になる。スケジュール真っ白で友達とも会わず仕事仲間とも会わず…だが、全く不便を感じない。むしろ毎朝、近所にある桜の綺麗な神社にお参りに行くことが日課となり清々しい毎日を過ごす。新しい部署の課長がいい人で少し安心する。が、少し仕事が落ち着いたので、転職活動本格化。大学院の友達に話を聞いたり前の職場の後輩にサポートしてもらったり、オンラインでも人の優しさを感じた。

5月:何もしないGW最高

緊急事態宣言の生活にも慣れ、本気で転職活動。が、どう考えてもやりたい仕事がない。新規事業開発について真剣に考え、コンサル…?と思うものの、やっぱり自分は事業会社が好きで自分の手で何かを最初から最後まで作りあげたいタイプなんだなあと改めて、気づく。今の事業会社にいた方が、自分の興味関心のフィールドでいられる。さらに事業開発の仕事にも携われているんだから、もうちょっと踏ん張ることにした。でも、常にプランBは持っていることは必須だなあとも実感。この辺りからめちゃめちゃ本を買ってたくさん読むようになった。

6月:コーチングを受け始めました

会社のイントラで管理職向けの「コーチング」とやらが、人気ですぐに埋まっていた。そんないいもんなら自分も受けてやろうと思い、mento(メント)| パーソナル・コーチングサービスというコーチングサービスの体験をしてみた。ピンときたコーチを選んでみたら、初回から号泣&号泣。コーチングの基本の考え方は、「全ての答えはその人の中にある」。自分の迷いを伝えると、答えを導き出せるように問いを上手に立ててくれる。コーチングのスキルを色々使って私の中の考えを表面に引き出してくれる。自分で価値を感じたものしかお金を支払わない自分が半年継続してお金を払っていることにびっくりしている。

7月:兼務開始そして路頭に迷う。そして親の入院サポートを開始。

希望していたはずの兼務なのに何をすればいいか全くわからず路頭に迷う。かと言って上長はいい人なので、コメントもしづらくやりづらさを抱えていた。プライベートでは初めて回らない鮨をボーナスで食べに行った。うまい。残りのボーナスはほとんど投資に回した。私偉い。そして親の入院サポートのために、親とコミュニケーションをとり、手術に対して不安に思っていることはなんなのか・手術後にやりたいことはなんなのかを紐解く。私まじで偉い。やりたいと思っていた塾講師のボランティアを始める。今年の夏は全然暑くない。

8月:まだ路頭に迷ってるなう

本務の方でなんの仕事していたのかほとんど記憶がない。兼務では路頭に迷って遅くまで仕事をしていたのにバリューを出せなかった記憶しかない。塾講師、親御さんに相談して早速やめる。継続して親の手術サポートを行う。この辺りで医学書院のケアをひらくシリーズや齋藤環先生の本を山ほど読み、Dressの連載「わたしは愛される実験をはじめた。」を読み、いろいろなことが頭の中で熟成されて、考え方がdrasticに変わった。めちゃめちゃ簡単にいうと、大人になった。

9月:ちょっとバリューが出せたので、仕事にやりがいが出てきたぞ

本務では大きな放送が成功裏に終わり、兼務では自分のやるべきことがわかり、仕事でちょっとだけやりがいを感じられた9月。そして9月末に遅くきた夏休みをとり、やりたかったソロキャンプをして、行きたかった鎌倉にいった。ソロキャンプまじで楽しい。なにが楽しいって、夕焼けは綺麗だし、肉は美味しいし、魚も美味しいし、寿司もうまいし、翌日の温泉もまあいい湯だし、そこで食べたお米もおいしすぎるし、新潟最高。まあ肉も魚も暗くて見えない上に火を絶やさないようにするには結構忙しいから別に一人じゃなくてもいいかもと思ったものの、一人の静寂な時間は1年に1回くらいはやりたくなっちゃいそうだな。鎌倉は最高のデートプランできたので誰かを連れて行きたい。うそ、本当は拙くてもいいので連れてってもらいたい。

10月:親入院、子供大掃除

親入院。当然のように自分が有休をとってサポートすることにフラストレーションを感じるものの、ノブリスオブリージュの気持ちで乗り越える。私は、自分で決めたことに対して自分で責任を負う覚悟がある。そこまで考えた上で行動を起こすことができる。他の人が自分の同じように考えないとしても、他人は他人、自分は自分。私は自分でやるべきことを決めて実行できる。と思いきや、実家の掃除をしにいったら1週間泊まる予定が、ここ10年以上動かしてなかった段ボールを動かしたり掃除したりしたら、蜘蛛が隠れてたところから出てくるわほこりのせいでくしゃみは止まらないわで1日で退散。無理無理無理やっぱ無理〜〜〜(snowman)。結局、合計10日くらい実家に帰って100袋くらいゴミ袋を出した。頑張って掃除している私まじ偉い。偉さの極み。You are the E RA I man. 仕事の記憶はない。

11月:退院サポートとGoToTravel

親退院。もちろんサポートしつつも、絶対に疲れることがわかっていたので、事前に友達との熱海GoToTravelを予約していた自分まじGood Job。久しぶりの熱海楽しかった〜〜〜〜他にもミュージカル見にいったり眉毛綺麗にしたり足の角質綺麗にしたりまつげパーマしたり大忙しやで。仕事はPJのアサインを伸ばしてくれるように自己主張したら通った。自分のやりたいことを主張するってほんと大切なんだな…と実感。うるさい自転車は油を刺してもらえる。そして気づいたら1Kから1DKに引っ越すことを決めていた。おら、ワクワクすっぞ。

12月:ワーケーションからの引っ越し, and the end of year

京都でワーケーションしてみたらめっっっっっっっっっちゃよかった。なにがよかったって、めちゃめちゃメリハリをつけて働くことができる。そして京都の和食とスイーツとパンはレベル違いでまじでうまい。仕事は目的思考の強い言語化の鬼がメンバーに加わったことでチーム全体にいい影響が出ている。彼の仕事の仕方も自分とタイプが違い過ぎるので強い刺激を受けている。そして引っ越しでは、なぜか親の電話番号を自分の番号として登録して連絡が取れず、業者が来る5分前にオートロックなのに鍵を持たずに締め出され、引っ越しの荷造りが終わっておらず引っ越し屋さんに「お前まじかよ」みたいな目で見られながら、格安(34,100円)で引っ越しを完了。まじで引っ越し屋さんのお兄さん、ありがとう。南向きの心地よい部屋で生きてます。

 結論:いい1年だった

やっぱり何にもなかったようでいろいろ学ぶことができた、素敵な1年でした。
2021年もいい年になりますように。

【書評】『人に頼む技術』 ハイディ・グラント

どうすれば気持ちよく人に頼むことができるのか?

仕事でもプライベートでも、人に何かを頼むのが苦手。 自分は他人から何かを頼まれるのがそんなに嫌いではないけれど、自分が頼む立場になると
・馬鹿にされるんじゃないか
・負荷をかけることで嫌われないかな
などなど、ネガティブな妄想が海より深く山より高く広がっていく。
そこで、購入したのが『人に頼む技術 Reinforcements』 ハイディ・グラント著

この本は大きく3部構成で、どうすれば他人に嫌な顔をされずに頼み事ができるのか、さまざまな心理学の知見をもとに書かれている。

①なぜ頼み事は難しいのか

・人に頼み事をすると死にそうな気分になり、実際に痛みを感じたのと同じ脳の状態になる

・人に頼み事をするのは、自ら5タイプの社会的脅威に身を晒していることになる。
①「ステータスの脅威」⇨自分の価値が落ちる
②「確実性の脅威」⇨相手がOKと言ってくれるか分からない、未来が予測できないストレス
③「自律性(オートノミー)の脅威」⇨自分で物事のコントロールができないストレス
④「関係性の脅威」⇨拒絶されたら一人ぼっちのような気分になる…ストレス
⑤「公平性の脅威」⇨他者と公平でいる権利を自ら放棄する

・だが実は、ひとは「断られる」可能性を実際よりも高く見積る。

・頼まれた人の「No」というストレスを見過ごす。代わりに、相手にかかる負荷に着目しがち。

・想像より多くの人が、「人を助けたいと思っている」
Door in the face, Foot in the door

・1回目の依頼を断ると、2回目は受けてくれやすくなる。
さらに、1回目OKすると、2回目もOKしやすくなる(認知的不協和を発生させないため、一貫した信念を貫きたいという欲求が生まれる)

・”助けることは、助けられることより印象をよくする”というのは間違い。むしろ嫌われることもある。

・助けることで、相手に更に好意を抱く

・嫌な印象を抱いている人の頼みに応じることで、相手への嫌な印象が薄まる。大きな頼みに応じると、相手がいい人のように思える。

・助けをと揉めることで、相手から悪印象を抱かれることはほぼない。

・助けることは、気分を高め、ひどい気分を和らげ、罪悪感の解毒剤となる。

②良い頼み方、悪い頼み方

・頼み事への4つの反応
①拒否 ②無視 ③消極的承諾 ④積極的承諾

・頼み事への2つの反応
①”助けたい”(内発的動機) ②”助けなければならない”(コントロールされている感覚)

・内発的動機に支えられた行動は、エネルギーを強化し、良いパフォーマンスを引き出す

・逆にコントロールされている(報酬、脅威、監視、期限、プレッシャーがある状態だ)と、”助けなければならない”と感じさせてしまう

・「返報性」
①個人的返報性(1あげるから1返してね=ビジネス上の貸し借り)
②関係的返報性(親密な人との間で、いつか返してもらうという前提で無償で助ける)
③集団的返報性(内集団の中での一般的な助け合い)

・自分が助けを求めている時、思ったより周りに伝わっていない。

・助けてもらうための4STEP
STEP1:相手に気づかせる
みんな意外と周囲のことに気づいていない。Invisible Gorillaという有名な心理実験で、何か依頼されて作業に集中しているときは、約半数の人は、ゴリラの着ぐるみが通り過ぎても気がつかないという実験結果が出ている。

STEP2:助けを求めていると確信させる
人は他人の心は読めないし、リスクがあるために手助けを躊躇う。困っていないのに助けが必要だと誤解するリスク、求められていないのに助けようとして嫌がられるリスク。これらを避けるためには、直接助けを求めるのがいちばん(Help Me!)

STEP3:助ける側は責任を負わなければならない
大勢に漠然とたすけて、と言っても「責任の分散」で助けてもらえないリスクがある。(傍観者効果 - Wikipedia  e.g.キティ・ジェノヴィーズ事件 - Wikipedia

STEP4:助ける人が、必要な助けを提供できる状態でなければならない
①「なにを求めていて、どの程度の助けが必要か、詳細にはっきり伝える」
②「妥当な量の依頼」
③「求めていたものを違っても受け入れる」

・助けを求めるのが難しいのは、”何を言い何をすべきか”だけでなく、”何をいうべきでないか、すべきでないか”もポイントになるから。

・NG例は、
ー共感に頼りすぎている(「60秒ごとにアフリカでは子供が一人死んでいます」からは目を背けたくなる心理)
ーやたら謝る(チーム感が失われる)
ー言い訳する
ー楽しさを強調
ー頼み事が些細だとアピールする(意外と時間がかかることも多々ある)
ー借りがあることを思い出させる(コントロールされたと思われる)
ー助けられた自分のメリットを強調(「おかげでリラックスできたよ」(自己利益)、よりも、「本当に君はこの作業が上手だね」「自分を差し置いて私のためにありがとう」(他者称賛)の方が、うまくいく)

・助けを求めるときの3つのポイントは、
1、仲間意識 2、自尊心 3、有効性

③人を動かす3つの力

1、仲間意識…お前のためならやってやる

・人は相手を無意識で分類し、内集団と外集団に分ける。それは生きるために必要だから。

・集団に対して固有観念で判断を下す。

外集団に対しては、
ー同じような人間の集まりとみなす(慶應生は気取っている)
ー自分の集団との違いを誇張(慶應生は泥臭いことをしたがらない)
ーレッテルを貼る(早稲田生はみんな高田馬場のロータリーで寝る)
ーネガティブな先入観で接する

・内集団を贔屓したいと思う欲求は強い。それは、”集団を繁栄させ、自分のアイデンティティを守り、強めてもらいたい”から。
ー「一緒に」やると、他者とのつながりが感じられ、脳の報酬のように働く
ー共通の目標、共通の敵、共通の敵や感情があると仲間意識が醸造される。
⇨まずは共通の感情、経験を探すことで、同じ旅をしている仲間という感覚を作る。

2、自尊心…あなたにしか頼めないことなの

・自分自身ーアイデンティティ(自己概念)ー自己知識

・アイデンティティは、①自己認識(私はどんな人?)②自分のアイデンティティについてどう感じているか(私のことどう思ってる?)の2つで構成されている。
・人は基本的に自己評価が高い
ーあの人よりもマシ(下方社会的比較)
ー都合よく自分を説明(自尊心が高い人は、成功は自分の有能さゆえ、失敗は状況のせいにする)
ー現実から目を背けるために、失敗しそうなことがあると、あえて自分から失敗に突き進んでいく。セルフ・ハンディキャッピング(テストで失敗したのは、勉強しなかったから。別れることになったのは恋人と距離を置いていたから。)
・助ける側のアイデンティティを肯定するポイントを強調する

⇨自分にしかできない形で誰かを助けることで、自尊心が高まる

3、有効性…自分は人の役に立てている

・「人は快楽を求め、苦痛を避ける」という言説は正しく感じられるが、実は間違い

・人を助けることで、「有効性」を感じられる
自分の行動が現実社会に影響を及ぼしているという手応えを感じるから辛くても続けられる

⇅ 逆に…

・短期的:FBを得られないと、やる気が低下、タスクへの興味がなくなる

・長期的:FBが得られない状況が続くと、無力感が高まり、鬱状態になる

・有効性を感じていると、長期的に人を助けようとする可能性が高まる。
⇨効果を実感すると、疲れもふき飛ぶ

・有効性を高めるためには、
①求めている助けがどんなもので、それがどんな結果をもたらすかを事前に明確に伝える
②フォローアップする(事前にそれを伝えておく)
③できれば相手に好きな方法を選ばせる

読み終わって:理論はわかった。技術を身につけるのは本人の努力だ。

誰かに何かをお願いすると、実は嫌がられるのではなく、好意を持たれる。
他人は意外と他人を助けたいと思っているし、自分のことを冷静に振り返ると、確かに私は他人を助けることでエネルギーをもらえる。でもね、心理学的には頼んでOKだよってことはわかるんだけど、どうすればいいのかわからないのよ〜〜〜。仲間意識を醸造する、相手の自尊心を高める依頼の仕方、そして有効性を感じされる依頼…ってのを、どうすればいいのか、自分で工夫するしかないんだよね。

2020年面白かった本③

引き続き、2020年面白かった本:小説編。

 

ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ

ザリガニの鳴くところ

ザリガニの鳴くところ

 

ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の顛末と少女の成長が絡み合う長篇

現在とカイアが生まれ育ってきた過去の話が順番に語られる。カイアがどうしてひとりになったのか、孤独を慰める手段はなんだったのか、どうやって食べ物を手に入れてきたのか、どうやって大人になったのか…読み進めるうちに、どうかカイアが犯人ではありませんようにと祈るように思う。ストーリーが切なく美しいだけでなく、沼地の描写が非常に精緻で、読んでいるうちに自分がザリガニの鳴き声しか聞こえない、静かな沼地にいるような気持ちになる。それでいてエンターテインメント性も高い、非常に稀有な作品。

 

白銀の墟 玄の月 十二国記 1-4巻セット
 

18年ぶりの書下ろし新作、ついに!
驍宗様(あなた)こそ泰麒(わたし)が玉座に据えた王。
だが――。戴国の怒濤を描く大巨編、開幕!

戴国(たいこく)に麒麟が還る。王は何処へ──。
乍(さく)驍宗(ぎょうそう)が登極から半年で消息を絶ち、泰麒(たいき)も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎(りさい)が慶国(けいこく)景王(けいおう)、雁国(えんこく)延王(えんおう)の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国(くに)に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。──白雉(はくち)は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!

中高生の時に文学少女だったアラサーは歓喜したんじゃないだろうか。私ももちろんそのひとり!大好きな十二国記の18年ぶりの新作!!!しかもみんな大好き泰麒の話!!!いよっ、待ってました〜〜〜!という感じで、海外出張にまで持っていってじっくりじっくり読みました。

人間の醜さと美しさと強かさをこれでもかと詰め込んで、さらに「戦で人は死ぬ、そして残されたものたちは路頭に迷う」という。当たり前の悲劇をきちんと悲劇として描く作家の筆力。もう待ちますよ、18年。こんなもの書いてくださるなら待ちます。でもできれば次の短編集は2年以内くらいには出して欲しいです…次回作以降も楽しみにしております。

 

ブルーピリオド 山口つばさ

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語、八虎と仲間たちは「好きなこと」を支えに未来を目指す!

 ブルーピリオドの面白さは前にもブログに書いたことがあるけれど、巻がすすんでも面白いまま。1回読めば満足するタイプの漫画ではなく、読み返すたびに気づくことがあったり、古傷が抉られたり、若気の至りを反省したり、あれ、反省ばっかりしているぞ・・・?とにかく、青春自体の辛さと充実感と前に進む原動力を何度も与えてくれる作品。続きが楽しみ〜9巻も買うぞ! 

coffeemeow.hatenablog.com

 

今年はものすごく「沢山小説を読んだ!」という感じではなかったけど、読んだ小説はしっかり重厚感があり、満足感の高いものが多かった。

来年もまたいい本に出会えますように。

 

coffeemeow.hatenablog.com

coffeemeow.hatenablog.com

 

2020年面白かった本②

引き続き2020年に読んで面白かった本。この記事は仕事関係で参考になった本。

 

Joy at Work 近藤麻理恵、スコット・ソネンシェイン

 

 ときめきながら働くためにはどうすれば良いか?ということを、こんまりさんの若干スピリチュアルなオーガナイズ術とソネンシェイン教授の科学的アプローチ、両面から光を当てた著作。ソネンシェイン教授だけでは方法論だけになってしまう、こんまりさんだけでは心持ちだけでやり方がわからない、となりそうなところが非常にうまくマッチして「自分がやりたい仕事=ときめく仕事をするためにやるべきこと」を丁寧に描いており、満足度が非常に高い。

特に「ときめき」というキーワードで、自分のやりたいことはなんなのか?を楽しみながら考えさせてくれるのはさすが。

 

イシューからはじめよ 安宅和人

 

 

コンサル&コンサル志望者なら誰でも知ってる名著。を私は初めて読んだのだけれど、非常に参考になった。「結局わたしはなんのために働いているのか?=解くべき課題=イシューは何か?」ということを明確に言語化し、イシューを分析していく。書いてあることはこれだけなんだけれど、まあとにかく身につけるのが難しい&論理的思考力とその事業への経験値、そこから発生するひらめきが求められるので、まだまだ全く身に付いていない。たまに外でも見たくなることがあるので、紙の本とkindleと両方で購入した。これからも読み返し読み返しして身につけていきたい。

 

 

今年はほぼ在宅勤務になったので、周囲の人に聞けない代わりに、わからないことや迷うことがあったら本を読むようにしていた。そうしたら、なんとスムーズに仕事の進むことか。本の効用というのは先人の叡智がわかりやすく端的にまとまっており、さらに自分の好きなタイミングで好きな部分だけつまみ食いすることができることなんだ!と実感した。人に聞くとなると、その知識を持っている人が必ずしも自分にとってわかりやすい話し方をしてくれる人だとは限らない。そもそもから話し始めてちっとも先に進まない人、端的に聞かれたことだけスポットで答える人、必要な情報とコンテクストを理解した上で適切な情報量に絞って教えてくれる人。いろんな人がいる。本はいい。聞きたいことがあれば、ペラペラとページを捲るだけいい。

他にも「採用基準(著:伊賀泰代)」からはリーダーシップの大切さを学んだし、「社内プレゼンの資料作成術(著:前田鎌利)」からは相手を説得するための論理展開と資料作成を学んだ。ただあくまでもこれらの本から学べることは「スキル」であって、自分を本質的に成長させてくれるものではないと思うんだよね。

自分の考え方や視点を変えてくれる本が、私はやっぱり好きだなあ。

 

2020年面白かった本①

今年読んで面白かった本。第一弾は社会との向き合い方、社会の見つめ方を少し変えてくれた2冊。

 

 『居るのはつらいよ』 東畑開人

京大を出て臨床心理士となった著者が「ケア」でなく「セラピー」に拘って沖縄に辿り着き、紆余曲折を経て、「ケア」と「セラピー」のあり方について、そして現代社会の在り方について、独自の視点で論じている本。というと堅苦しいけれど、著者の東畑さんの書き口がめちゃめちゃ面白く、楽しみながらよめる。ただ、著者が辿り着いた「ケア」と「セラピー」の関係性、そしてその根幹にある現代社会(資本主義)の在り方とその負の面は衝撃的。そして改めて自分の価値観を見つめてみると、現代社会のあり方はしっかりと私にも内面化されている。人々の価値観は絶対的ではなく、私が正しいと思っている自分の価値観ですら、社会によって作り上げられたもの。それでは、私が本当に正しいと思っているものは何なのか?スッキリしないからこそ、ずっと心に残っている。社会的に「正しい」ものに流されそうになった時に読み返すと思う。

 『自分と他人の許し方、あるいは愛し方』 三砂ちづる

ミシマ社のウェブ連載が書籍化されたもの。連載は知らずにたまたま購入したが、著者の慈愛と励ましを感じられる素敵な本だった。

「魔がさした」という言い方をすることがあるんだけれど、「魔」ってなんだろう。(中略)「魔の正体は、自己憐憫と罪悪感」です。 

そう、魔がさす時ってある。とても天気が良い日にお気に入りの服を着てカフェで友達を待ってるのにどうしようもなく悲しくなってしまう時とか、家族からの連絡が鬱陶しくてたまらなくて、ああもう消えてしまいたいなあってぼんやり思う日曜の昼下がりとか。そんなとき、この本を読めば少し落ち着ける。私はいま「魔」に捕らえられているけれど、正体は分かっている。自己憐憫と罪悪感。それらと闘い、自分を許し、愛そう。そう思える、素敵な本だった。定期的に読み返すと思う。精神安定剤的な本になりそう。

自分と他人の許し方、あるいは愛し方

自分と他人の許し方、あるいは愛し方

  • 作者:三砂ちづる
  • 発売日: 2020/05/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

コロナで外出が自粛されるようになってから、びっくりするくらい本を読んでいる。もともと本を読むのは好きだったけれど、ここ数年は自分の好きな作家さんの本+年末年始の積読本3冊くらいで、1年で計10冊も買っていなかったのではなかろうか。

ところが、今パッと本棚を見ただけでも今年の4月から購入した本は優に30冊を超える。コロナが人々に与えた影響は色々あり、現在進行形で様々な変化が進んでいるが、私にとっては内省の時間が取れるようになったことが一番の大きな変化だ。内省とは、「自分自身の心の働きや状態を省みること」らしい。strength finderで「内省」「慎重さ」「収集心」「学習欲」「共感性」をもつ私は、このコロナ禍で時間ができたことで、自分の心を以前よりも頻繁に覗き込むようになり、その心の状態を先人たちがいかなる言葉で表現してきたかを学ぶためにたくさんの本を読んでいるらしい。

もちろんそれだけではなく、家族の入院手術、自分自身の仕事の変化に伴って購入した学習のための本もたくさんあるが、それらも結局は自分の心を省みる時間がなかったら手に取らなかっただろう。

コロナ禍で大変な思いをしている方々はたくさんいるし、自分自身も気を引き締めて生活してなければと思うが、私にとって家で一人で過ごす時間が肯定される時代は、なかなか生きやすい。上記の2冊は、ともすれば大きな声に流されそうになり、社会の荒波であっぷあっぷしていた私の道標となってくれた2冊。

もう福袋?まだコフレ買ってないのに?

書きたいなー書きたいなーっていつも思ってるけど、書けないものなーんだ。そう、ブログだね!疲れ切って余計なことを考える暇がない今こそ、軽い気持ちで書いちゃおう〜!

 

まず、ルピシアの福袋の予約完了〜★

松竹梅(1万円、5000円、3000円)あって、現実的にはまぁ3000円だよね〜ということで、梅の15番=ティーバッグ(ノンフレーバード)を予約!

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https://www.lupicia.com/shop/pages/21-fuku-winter.aspx

 

そして気になってるコフレは…

・ジョー マローン

The house of Jo Malone London 

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ずっとずっとジョーマローンは気になってるから欲しいんだよね〜。でも、これを買うなら気に入った香りを1つだけ買った方が大切にできるかな…。ふにゅーん。

 

・ローラメルシエ 

ミニキャビアスティック カルテット

(スターゲイザーorグランドオーバーチュア)

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これもずっと欲しかったの!目頭に引くのにも使いやすいし、きれいに粉落ちもしないし!不安なのは、ミニだからちょっとちゃったか見えたりするかな…。MACのリップミニはイマイチだったんだよね…。ふむーん。

 

ひとまずこんなところかな!あぁーー時間が足りない!師走じゃないのに忙しい!!!