ビジネスを学ぶためには投資が一番
来年から経営に近い部署に異動になりそうで、真面目に経営の勉強をしたくて手に取ってみました。『ビジネスエリートになるための教養としての投資』 (奥野一成 著)
行く先々の本屋さん(特に大型書店)で平積みされているので、売れてる本なんだろうな〜と思いつつ”ビジネスエリート”という文言が表紙に入っている時点で、読む人を選ぶ本であり、かつ自分のことをエリートと認識するようなしゃらくせえ奴らが読む本だと毛嫌いして、気になっていたけれど買わなかった。でもでもやっぱり気になっていたので、大好きな代官山蔦屋書店の「2020年の書店員のおすすめベスト」に入っていたので購入してみたところ、たくさん学びがあった。ので、以下書評メモ(参考になったところだけを切り貼りです)。
- ビジネスを学ぶためには投資が一番
- 1時限目 投資家の思想が人生を成功に導く
- 4時限目 「投資」と「投機」は違う
- 5時限目 売らない株を買えばいい
- 6時限目 ファンドマネジャー流 株式投資で成功するコツ
- 感想:いい本、なんだけど…
1時限目 投資家の思想が人生を成功に導く
- 労働者1.0 受動的、指示待ち、言われたことを文句言わずにこなす、与えられた課題に対する正解を求める
- 労働者2.0 能動的、自分の才能を誰かに売る、問題発見と解決能力
- 資本家 他人を働かせる、構想する力、他人の才能や時間を利用する
- 会社は個々人では解決できない社会問題、顧客の問題解決のため。構成員である従業員に給与を支払うために存在するのではない。
- 「有能の境界」過去ー未来、自分ー他人の4章限のうち、自分がコントロールできるのは【自分の未来】のみ。集中投資。
4時限目 「投資」と「投機」は違う
- 投資ーこの農地からどれだけの農作物が取れるか=生み出される価値を見極める
- 投機ーこの土地がどのくらい値上がりするか=そのものの価値を短期的な視点で見る
→株式市場は、短期的には人気投票の場に過ぎないが、長期的に見れば『価値』の計測機として機能する
- 発展途上国型ビジネスモデル 大量生産でコストを下げ、製品価格を安くして面を取る
5時限目 売らない株を買えばいい
- バフェットはCoca-Colaの株を20年保有。世界中のネットワークと寡占市場、人口増加率を考えると合理的な判断である。
- 売らない株=構造的に強靭な企業
- 高い付加価値 本当に世のために必要か?
- 高い参入障壁 今更戦おうと思わない程、圧倒的に強いか?
- 長期潮流 普遍的で不可逆な流れに沿っているか?人口動態など「不可逆であると言い切れる」もの。
- 高い付加価値があり、高い参入障壁に守られた会社が、長期潮流に乗って初めて営業利益が出続ける。
- 長期潮流は利益を増幅させるものであり、そのものに価値があるわけではない。付加価値と参入障壁が確保されていないと、そもそも売れない、売れるが別会社に市場を奪われる、などが起こる。
- 参入障壁は、投資し続けない限り色あせるもの。経営とは、参入障壁をつくるゲーム
6時限目 ファンドマネジャー流 株式投資で成功するコツ
- 売り上げーその会社の製品やサービスの売れ具合を「金額」という数値に置き換えたもの
- 株価収益率(PER)ー投資回収期間
- その会社の利益と株価を比較して、現在の株価が一株当たり純利益に対して何倍まで買われているかを示した指標。
- 一株当たり純利益が30円の会社の株価が600円なら、PER=株価÷一株当たり純利益=600/30=20倍
- 株式益利回りー30円÷600円=0.05=5% つまり、利回り5%
- 株価純資産倍率(PBR)ーあまりいみはな
- 以上2つは、その会社の株価がいま、割高なのか割安なのか把握するための数値
- テクニカル分析ー過去の株価の値動きをグラフ化したものを見て、将来の値動きを予測する
→数値は過去のことしか語らない。
- 投資対象を選別する上で一番大切なのは、仮説を立てること。利益が増え続ける上で必要な参入障壁が何なのかを探るために、様々な数値を用いて現状を確認しつつ、仮説を組み立てる。
感想:いい本、なんだけど…
特に学びになったのは、1、5、6限目。
働くことに対するマインドセットを持ち(1限目)、実際に投資する際には”頭に汗をかくこと”が重要であると理解し(6限目)、そのための分析軸として【構造的に強靭な企業】=高い付加価値、高い参入障壁、長期潮流の3点が揃っている会社に投資すべき(5限目)と理解することができた。
ロジカルで仕事や投資に対する理解が深まるよい本だった(そしてこの本を読んだ影響で日本インデックス投資から全世界インデックスに変えようと思った)。
でも同時に、「ビジネスエリート」でないこの本を手に取らないような人たちとの格差の固定化にも貢献してしまっているなと、自分を棚の上にあげて少しもやもやとした気持ちが残った。