2020年面白かった本③

引き続き、2020年面白かった本:小説編。

 

ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ

ザリガニの鳴くところ

ザリガニの鳴くところ

 

ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の顛末と少女の成長が絡み合う長篇

現在とカイアが生まれ育ってきた過去の話が順番に語られる。カイアがどうしてひとりになったのか、孤独を慰める手段はなんだったのか、どうやって食べ物を手に入れてきたのか、どうやって大人になったのか…読み進めるうちに、どうかカイアが犯人ではありませんようにと祈るように思う。ストーリーが切なく美しいだけでなく、沼地の描写が非常に精緻で、読んでいるうちに自分がザリガニの鳴き声しか聞こえない、静かな沼地にいるような気持ちになる。それでいてエンターテインメント性も高い、非常に稀有な作品。

 

白銀の墟 玄の月 十二国記 1-4巻セット
 

18年ぶりの書下ろし新作、ついに!
驍宗様(あなた)こそ泰麒(わたし)が玉座に据えた王。
だが――。戴国の怒濤を描く大巨編、開幕!

戴国(たいこく)に麒麟が還る。王は何処へ──。
乍(さく)驍宗(ぎょうそう)が登極から半年で消息を絶ち、泰麒(たいき)も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎(りさい)が慶国(けいこく)景王(けいおう)、雁国(えんこく)延王(えんおう)の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国(くに)に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。──白雉(はくち)は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!

中高生の時に文学少女だったアラサーは歓喜したんじゃないだろうか。私ももちろんそのひとり!大好きな十二国記の18年ぶりの新作!!!しかもみんな大好き泰麒の話!!!いよっ、待ってました〜〜〜!という感じで、海外出張にまで持っていってじっくりじっくり読みました。

人間の醜さと美しさと強かさをこれでもかと詰め込んで、さらに「戦で人は死ぬ、そして残されたものたちは路頭に迷う」という。当たり前の悲劇をきちんと悲劇として描く作家の筆力。もう待ちますよ、18年。こんなもの書いてくださるなら待ちます。でもできれば次の短編集は2年以内くらいには出して欲しいです…次回作以降も楽しみにしております。

 

ブルーピリオド 山口つばさ

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

 

成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語、八虎と仲間たちは「好きなこと」を支えに未来を目指す!

 ブルーピリオドの面白さは前にもブログに書いたことがあるけれど、巻がすすんでも面白いまま。1回読めば満足するタイプの漫画ではなく、読み返すたびに気づくことがあったり、古傷が抉られたり、若気の至りを反省したり、あれ、反省ばっかりしているぞ・・・?とにかく、青春自体の辛さと充実感と前に進む原動力を何度も与えてくれる作品。続きが楽しみ〜9巻も買うぞ! 

coffeemeow.hatenablog.com

 

今年はものすごく「沢山小説を読んだ!」という感じではなかったけど、読んだ小説はしっかり重厚感があり、満足感の高いものが多かった。

来年もまたいい本に出会えますように。

 

coffeemeow.hatenablog.com

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